春は新陳代謝が活発になる季節

寒さの厳しい冬も過ぎ去り、春のうららかな陽気に誘われて、身も心も軽やかに感じるようになってきました。中医学(中国漢方)の「五行学説(ごぎょうがくせつ)」では、春は「木(もく)」に属し、自然界のすべてのものがのびやかに成長し、新陳代謝が活発になる季節です。人間の身体も同様に新陳代謝が活発になり、冬に溜まった老廃物を発散していきます。少し汗をかきやすくなったり、気持ちが浮き立ったりします。
こうした身体の活動と深い関わりがあるのは五臓でいう「肝」です。中医学でいう肝は、西洋医学でいう肝臓の働きだけでなく、自律神経系や新陳代謝の機能を担い、全身の「気(エネルギー)」の流れをコントロールし、精神を安定させたり、内臓の働きをスムーズに保ったりする役割をしています。
また、肝は血を貯蔵し、必要に応じて供給するという血の調節機能も担っています。
五行学説によると肝は春にあたる臓器で、春の草木のように「のびのびとしている状態」を好むことが特徴。そのため、ストレスが溜まると肝の機能が低下し、消化器系の不調や疲労感、イライラ、憂鬱といったさまざまな不調が現れるようになります。
季節の変わり目で生活環境が変わることも多い春は、ストレスや不安を感じやすい時期。ストレスを上手にコントロールして肝の機能を健やかに保ち、心も身体も元気に気持ちよく過ごしましょう。